「設計と現場日誌」
省エネ・バリアフリー改修 事業者向け講習会
何か団体への入会案内とか、販売がくっついてくるのかと思っていましたが
そんなこともなく、思いの外情熱的なお話が聞けました。
それはバリアフリー改修の講義でした。
講師は財団法人テクノエイド協会から派遣された一級建築士 溝口千恵子さん。
高齢者が住む住宅の改修専門の会社を運営しています。
「介護保険の住宅改修なんて、たかだか20万円の手すり付けの仕事だと思っていませんか?」
(工事屋の心を見透かされているようです、、、)
「そうじゃないんですよ、私たちは建築の知識と技能で高齢者を支える支援者なんです。」
「手すり一本でも『これを付けてもらったおかげで出来なかったことが出来るようになった』『あなたのおかげよ』と喜んでもらえる、感謝してもらえるやりがいのある仕事なんです。」
「設計事務所やハウスメーカーから若い人たちが入社してきますが、『こんなに喜んでもらえる仕事はない』って言っています」
↑当社で新築したお住まいだが、介護保険を利用して手すり工事を行った事例
当社も健康で長く住める住まいづくりを目指しています。どう作るかも常に考えていかなければなりませんし、作った後でも頼りにされる存在でありたいと思っています。
今日聞いたお話の一部を紹介します。
65歳以上の高齢者2524万人のうち、介護認定されている方は417万人。
80%は健常者なんですね。
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だから高齢者対応と言っても、要介護認定されている方と、健常高齢者に分けて考えるべきなんです。
健常高齢者の方の住まいを考えるとき、住宅そのものの性能を上げる(耐震とか断熱とか)にはあまり関心を示されません。
「そんなことにお金を使ってもしょうがない」と思われています。
でも、元気でこの家に住み続けたい、という思いは皆さんが持っています。
だから大事なのは「安全」と「安心」
安全とは、家庭内事故が回避できること。安心とは、身体機能の変化、低下に対応できること。
さらに言えば、何か事故があっても施設は入居待ちで入れない時代になっています。
要介護高齢者の場合、
介護保険制度はどうなっているかというと
訪問介護などの人的サービスと、福祉用具貸与購入や住宅改修などの物・環境サービスの二つがあります。
人的サービスの場合、サービスを受ける人は「してもらって当たり前」という受け身の姿勢になりがちです。それでは生活への意欲も低下します。
福祉器具や手すりなどは、自分が使ってみなければなりません。「使ってみよう」という主体性が生まれそれが自立への第一歩になります。実際手すりを付けて使っているうちに、要介護のランクが2ランクも改善した方がいます。
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その他いろいろとノウハウやテクニックもお聞き出来ました。でも大切なことは
「生活にあわせて家をつくり、なおしていく」ことだと感じました。