「設計と現場日誌」
宮城・仙台で、平屋の家を建てたい。
平屋の家を建てたい!そうした方が増えているようです。
私たちが家づくりをお手伝いしたお客様の中でも平屋を建てた方がいらっしゃいます。
建築途中の現場を見ていただく「構造見学会」というイベントに来場されたそのお客様(Aさんとしておきます)をみて、一瞬驚きました。ご夫婦で来場したご主人が「車椅子」にのっていたからです。
実は車椅子のお客様は初めてというわけではなかったので段差のある玄関ポーチを車椅子を持ち上げながら室内へ入っていただき見学いただきました。
「平屋の家を建てたいんです」
「平屋が得意だというメーカーさんに行ったんですが、間取りに満足できません。」
「設計の方が、『もうこれで良いでしょう?』といって言うことを聞いてくれないんです」
車椅子のご主人が自由に動き回れるように作りたい。そういったご希望をかなえたかったのです。
百人百通りのバリアフリー
障害のあるかたに配慮した住宅を「バリアフリー住宅」と言ったりします。
段差を解消する。転倒防止に手すりをつける。など手法はいろいろありますが、大事なのはその障害のある方が何を必要としているかしっかりとヒアリングすることです。また敷地条件が厳しい(狭い敷地)ならば、ホームエレベーターなども検討材料に入るかもしれません。
〇平屋住宅の実例
https://www.sendai-air.co.jp/house-case/18584.php
https://www.sendai-air.co.jp/house-case/499.php
なぜ平屋にしたいと思ったのか?平屋のメリットは?
Aさんの場合は、病気ではなく事故で車椅子生活となったので上半身の力は健在でした。車椅子バスケットの選手をなさっていたくらいです。
介助を受けなくても家の中を自由に動けるためにも平屋が最適でした。とはいえ、平屋の屋根裏部分はかなりのスペースが確保できますから、ご主人は利用できないのですが屋根裏収納(ロフト)を設けることにしました。
健常者の場合でも階段の上り下りがないことで体への負担が少ない、転落の心配がないなどは平屋のメリットです。高齢者向きといえるかもしれません。
Bさんの場合は、別の理由で平屋に建替ました。
建て替える前のお住まいは二階建てで、急傾斜地の指定を受けた崖側に寄っていました。
宮城県沖地震が周期的に起きる宮城県です。耐震診断を受けてみるとやはり強度不足が指摘されました。なおかつ崖も崩れる心配がありました。
建て替えるにあたっては、安全性を高めるためにも平屋にしてなおかつ崖からの離れを十分にとった配置にしたのです。
その後発生した東日本大震災。建物は載っていなかったのに、崖側の擁壁は沈下を起こしました。
二階の荷重がない分、平屋は耐震性が高いといえるのです。
震災を機に建て替えたお住まいには平屋が多いように思います。これはご家族がご夫婦だけとなり、部屋数が必要なくなったこと、ご自身たちが高齢となり掃除などのメンテナンスの労力が掛からないようにできることなども大きいでしょうね。
平屋のデメリットは?
暮らしやすい平屋の家ですが、デメリットもあります。
まず、敷地は一定程度大きくないと庭部分が取れず日当たりが確保できません。郊外向きといえるかもしれません。
そして、工事費は割高になる傾向があります。同じ床面積の平屋と2階建てで比較すると、基礎部分の面積は平屋の方が広くなります。
すなわち、基礎工事に必要な面積が2階建てよりも広くなるため、坪単価が上がってしまうのです。屋根に関しても平屋のほうが大きくなるため、やはりその分だけ費用はかさみます。
面積を無駄に増やさないよう間取りを考えることが重要になってきます。ぜひ専門家にご相談ください。
坪単価という言葉に注意
住宅にはリビングや寝室のような空間と、その空間に設置するキッチン・バス・トイレなどの「設備」が必要です。
大概の浴室の大きさは一坪ですが、ここに設置するシステムバスは、安いものでも5~60万円します。加えて組立費や水道電気工事がかかります。ということは、浴室だけの坪単価は他の部屋に比べて5~60万円+2~30万高くなると言うことです。大きな家でも小さな家でも、お風呂は一つ、キッチンも一つですから大きな家ほど総工事費を面積で割ったいわゆる「坪単価」は安くなるのです。
そこで、「坪単価〇〇万円」と表示してある広告には(但し、床面積□□m2以上とします)などと但し書きがあったりするのです。
坪単価が安いと同じ予算で広い家が建てられると思われるでしょうが、築20年30年と過ぎて使わなくなった2階や子供部屋を持て余しているご家庭をみていると、暮らしやすい家を最小限の広さで建てることが良いのでは?と思わされます。
2020.2.26追記